人間誰しも加齢と共に体のシルエットは崩れてきます。若い頃は多少の暴飲暴食をしようが、運動とは無縁の生活を送っていようが、そう簡単に体形は変わりません。ところが40才あたりを境として、代謝が悪くなり、もう「息を吸うだけで太る」ような錯覚に陥るほどです。そして、このあたりの世代の方々に特徴的なのが、「ゆったりしたシルエットの服を好んで着る」ということです。たしかに体形にぴったりの服を着ると、みっともないお腹が目立つ、変なシワが入って格好悪い、といった恐怖があるのはわかります。しかし、だからといってドラム缶のようなシルエットのスーツや昔のヤンキーがはいていたような太いズボンをはくのは決して得策ではありません。特にスーツやお出かけ用のワンピースに関しては、絶対にオーダーで体形に合ったものを作ることをお勧めします。最近の既製品スーツはずいぶん出来も良くなって、安い価格でかなりのものが手に入るようになったのも事実です。でもそこはやはり既製品、あくまでも日本人の最大公約数的サイズ感でしかないのです。オーダーというとなんとなく高価なイメージが昔はありましたが、最近はシステムを効率化するなどの努力によりずいぶん安い価格でもオーダーアイテムを作れるようになりました。若者向けのタイトすぎるシルエットではなく、あくまでスタンダードな形のものをぜひ一度作ってみてください。おそらく既製品とのあまりの着心地の違いにカルチャーショックを受けることでしょう。そして、あら不思議、なぜか体形に合ったシルエットの方がスッキリと格好よく見えるではありませんか。元来洋服とは着る人の体形をなぞることで一番格好よく見せる形状なのです。この満足感を味わうと、もうあなたは既製品には戻れないはずです。
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